Ping値の目安と理想値を解説!オンラインゲームやビデオ会議に最適な回線とは

インターネットの速度は十分のはずなのに操作が遅れたり、映像がカクついたりする。そんな悩みの原因になっているのが「Ping値(ピングち)」の高さにあるかもしれません。

とくに、オンラインゲームやビデオ会議などリアルタイム性の高い場面では、Ping値の良し悪しが体感の快適さを大きく左右します。この記事では、Ping値の基本的な意味から目安、改善方法までをわかりやすく解説します。快適なネット環境を構築するために、ぜひ参考にしてみてください。

Ping値とは?インターネット通信における「応答速度」の目安

インターネット回線の快適さを判断するうえで、Ping値(ピング値)は重要な指標のひとつです。これは、ユーザーから送信されたデータに対して、サーバーがどれくらいの速さで応答を返すかを示す数値です。

具体的には、データの往復にかかる時間(単位:ミリ秒)を計測したもので、数値が小さいほど応答が速く、通信の遅延も少ない状態といえます。

Ping値の影響がとくに大きいのはオンラインゲームやビデオ会議など、リアルタイム性が求められる利用目的の場合です。たとえば対戦型のオンラインゲームでは、操作と画面の反応にズレがあると操作ミスにつながり、勝敗にも影響する可能性があります。

とくにFPSや格闘ゲームのように、わずかな反応の遅れが結果を左右するジャンルです。

通信速度とPing値との違い

インターネットの快適さを判断するうえで「通信速度」と「Ping値」はどちらも重要な指標です。ただし、それぞれが示す意味は異なります。

① 通信速度

一定時間内にどれだけのデータを送受信できるかを表す数値はMbpsと表されます。数値が大きいほど、大量のデータを高速にやり取りできます。

通信速度の指標は一つではありません。「下り速度」「上り速度」があり、それぞれ用途が異なります。

下り速度:データを受け取る速さの指標で、Webサイトの閲覧や動画視聴などに影響
上り速度:データをWeb上に送信する速さの指標で、オンライン会議やライブ配信の安定性に影響

いずれも「Mbps」という単位で表され、数値が大きいほど通信が速いことを示します。ネットの用途別に推奨速度の目安を、以下の表でご確認ください。

用途推奨速度
Web閲覧・メール1~10Mbps(下り)
動画視聴5~25Mbps(下り)
YouTube(4K動画)25Mbps以上(下り)
Zoom(ビデオ会議)3~5Mbps(下り/上り)
オンラインゲーム50Mbps以上(下り/上り)
ライブ配信6~50Mbps(上り)
大容量ファイルのクラウド保存50Mbps以上(上り)

通信速度はスピードテストを利用することで計測できます。

② Ping値

操作に対して、どれだけ早く応答が返ってくるかを表します。数値が小さいほど応答が速く、遅延の少ない通信といえます。Ping値が特に重要なのは次のようなケースです。

  • オンラインゲーム(特に対戦系)
  • ビデオ会議
  • リモートデスクトップ操作

このように、通信速度は「どれだけ速くデータを運べるか」、Ping値は「どれだけ早く反応が返ってくるか」を示すものです。インターネットの利用目的に応じて、どちらを重視するかを見極めることが大切です。

なお通信速度については以下の記事で解説しています。より詳しく知りたい方は合わせてお読みください。

光回線の速度が遅いのはなぜ?ネットを快適にする8種類の対処法を解説

Ping値の目安|目的別の許容範囲は?

Ping値は数値が低いほど応答が速く、通信の安定性も高まります。とはいえどれくらいの数値なら快適かどうかは、ネットの利用用途によって異なります。以下は、主な利用用途ごとのPing値の目安です。

目的 理想的なPing値
Web閲覧/メール/チャット 0〜50ms
動画視聴 0〜30ms
ビデオ会議 0〜30ms
オンラインゲーム(FPS・格闘ゲーム) 0〜10ms
オンラインゲーム(RPG・パズル等) 0〜30ms

Ping値が理想的な範囲を超え、大きくなるとネット利用の快適性が損なわれる場合があります。

ビデオ会議では、Ping値が30msを超えると音声の途切れ映像のカクつきが起こりやすくなります。とくに仕事や商談で安定したやり取りが必要な場合は、Ping値が低い回線を選ぶと安心です。

オンラインゲームでは、ゲームの種類によって快適とされるPing値が異なります。たとえば、RPGやパズル系のゲームであれば、30ms程度あればほとんど問題なくプレイ可能です。

一方、FPSや格闘ゲームでは10ms以下が理想とされ、それ以上になるとラグを感じる場面も増えてきます。操作と画面の反応がずれたり、キャラクターが瞬間移動したりといった具合です。こうした現象が頻繁に起きるようであれば、回線の見直しや接続環境の改善を検討しましょう。

Ping値の計測方法

Ping値を計測するにはいくつかの方法がありますが、最も簡単な方法としてGoogleの提供するスピードテストがおすすめです。

Googleの検索ボックスに「スピードテスト」と入力し、「速度テストを実行」をクリックするだけで、Ping値と通信速度をまとめて確認できます。このテストでは、Ping値は「レイテンシ(Latency)」という表記で表示されます。

通信状況が気になるときはツールを活用して、現在の応答速度がどれくらいかを確認してみるのも一つの方法です。

Ping値を改善する5つの方法

Ping値が高くなる原因はいくつかあり、対策によって改善が見込めるケースも少なくありません。
ここでは、Ping値を改善する代表的な方法を5つ紹介します。

  • Wi-Fiルーターやデバイスを再起動する
  • 有線接続に切り替える
  • 同時接続台数を減らす
  • Wi-Fiルーターの設置場所を見直す
  • 回線・プロバイダーの乗り換えを検討する

このあと、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

1. Wi-Fiルーターやデバイスを再起動する

Ping値が急に高くなったり、通信速度が不安定に感じられたりする場合は、Wi-Fiルーターや接続している端末の再起動を試してみるのが効果的です。

Wi-Fiルーターは長時間稼働し続けていることが多く、さまざまな情報(キャッシュ)が蓄積して、動作が重くなるケースも少なくありません。一度電源を切り、数十秒ほど待ってから再起動することで、内部のキャッシュがリセットされ、通信状態が改善することがあります。

またパソコンやスマートフォンなどのデバイスも、長時間の利用で蓄積された情報が溜まるため、Wi-Fiルーターと同様に再起動してみるとよいでしょう。

再起動は簡単かつリスクの少ない方法として、改善につながる可能性があるため、Ping値が高いと感じたときの、最初の対処法としておすすめです。

2. 有線接続に切り替える

Wi-Fiのような無線接続は、壁や家具といった障害物に加え、水分や家電からの電波干渉などによって通信が不安定になりがちです。

その点、LANケーブルを使った有線接続であれば、Wi-Fiルーターと端末を直接つなぐため、通信が安定しやすく、Ping値の改善も期待できます。

LANケーブルが部屋の景観を損ねることもありますが、オンラインゲームやビデオ会議など、リアルタイム性が求められるときのみ有線接続に切り替える方法もあります。

なお有線接続を行う際は、LANケーブルの規格にも注意が必要です。たとえばCAT5のような旧規格のケーブルでは通信速度が十分に出ず、かえってパフォーマンスが落ちるおそれがあります。目安としては、CAT6以上のケーブルを使用すると、より安定した通信が期待できます。

ケーブルの側面には規格が記載されているため、手持ちのLANケーブルが最新のタイプかどうか、一度確認しておくことをおすすめします。

3. 同時接続台数を減らす

使っていない端末の電源を切ったり、Wi-Fi接続をオフにしたりすることで、利用中のデバイスのネット環境が改善される場合があります。一台のWi-Fiルーターに複数のデバイスが同時接続されることで通信帯域が分散されてしまい、速度の低下やPing値の上昇を招きやすくなるためです。

たとえば家族全員がスマートフォンを使っている状況に加え、テレビやエアコン、スマートスピーカーといったIoT家電までネットに接続されていると、Wi-Fiルーターにかかる負荷は大きくなります。結果、一部のデバイスで通信が不安定になるケースは少なくありません。

デバイスの同時接続台数を減らすことで、Wi-Fiルーターの負荷が軽減され、通信の安定化やPing値の改善につながります。

4. Wi-Fiルーターの設置場所を見直す

Wi-Fiルーターの設置場所は通信品質に大きく影響します。

家具や壁の近くにルーターを置いていると、電波が遮られてPing値が高くなったり、通信が途切れたりするためです。また電子レンジや冷蔵庫など家電の近くに設置すると、電波干渉が発生しやすくなり、通信が不安定になるケースも見られます。

通信を安定させるためには、次のような工夫が効果的です。

  • ルーターはできるだけ高い位置かつ開放的な場所に設置する
  • 使用する端末との距離を近づける
  • 壁や家具など電波の妨げになる障害物を避ける

設置場所を少し見直すだけでも、Ping値の改善につながるケースは多くあります。無線接続で不安定さを感じている場合は、まずWi-Fiルーターの位置を見直してみるのがおすすめです。

以下の記事ではWi-Fiルーターの設置場所について詳しく解説しているため、あわせてお読みください。

Wi-Fiルーターのおすすめな設置場所6選!ご自宅に快適なネット環境を作ろう

5. 回線・プロバイダーの乗り換えを検討する

これまでの対策を講じてもPing値が改善されない場合、回線やプロバイダーそのものの見直しを検討するのも一つの手です。とくに混雑しやすい時間帯(20時〜24時)に通信が不安定になる場合、回線の品質に原因がある可能性があります。

Ping値の改善に効果があるとされているのが、IPv6に対応したプランです。IPv6はまだ利用者が比較的少なく回線が混雑しにくいため、Ping値が安定しやすい傾向があります。実際に、IPv6対応の回線サービスに切り替えることで、応答速度が大幅に向上するケースがあるほどです。

IPv6については以下の記事で詳しく解説しているため、詳しく知りたい方はあわせてお読みください。

IPv6と光回線の関係とは?仕組みやメリット、導入手順まで徹底解説

まとめ

Ping値は通信の「反応の速さ」を表す重要な指標です。データの往復にかかる時間(単位:ミリ秒)を計測した数値であり、数字が小さいほど快適な通信環境と判断できます。ネットを利用する目的ごとの理想的なPing値は以下のとおりです。

目的 理想的なPing値
Web閲覧/メール/チャット 0〜50ms
動画視聴 0〜30ms
ビデオ会議 0〜30ms
オンラインゲーム(FPS・格闘ゲーム) 0〜10ms
オンラインゲーム(RPG・パズル等) 0〜30ms

とくにオンラインゲームやビデオ会議などリアルタイム性を求められる用途では、Ping値が快適さを左右する要素となります。もしPing値が高く、不安定な状態が続くようであれば以下の方法を試すことで改善が期待できるかもしれません。

  • Wi-Fiルーターの設置環境の見直し
  • Wi-Fiルーターとデバイスの再起動
  • 同時接続デバイスを減らす
  • 接続方法の見直し

これらを試しても、ネット利用者の増える20時以降のPing値が改善されない場合には、混雑に強いIPv6対応プランへの回線の乗り換えも有効です。本記事の内容を参考に、ぜひ快適な通信環境を整えていきましょう。